「いのふへ、」
さう つぶやひて
ひざをつく
愛しき人の亡き骸には
牡丹のひらが舞つている
さうだ それは寒し日に
君へと伸びる
蔭ろろふのやう
包み込んでのみ込むや
あの黒き蔭ろふのやう
生前 彼はいつもそふ
ふと目を離さば 束の間に
消えて ゐなくなりさうで
不安がずつと襲うんだ
だから私は話さずに
彼をずつと
愛したのさ
嗚呼、愛しゐ愛しすぎるや
天からふつてくる鉄砲玉は
君をねらつて
飛んでくる
血を見
君を見
天を見た
空さへもいのふへを
狙つておつたのだ
短夜に流離ふ
短夜に 流離ふ 君の残像は
黄色牡丹の 影となりつ
されど 嗚呼 いのふへよ
君は何処へ
行つてしまひたのや
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