さくさく
足をそこに踏み込めば軽快な音がした。白く、かき氷が敷き詰められたようなこの校庭。今まさに雪によって埋め尽くされていた。履いたローファーが汚れようがどうなろうがしったこっちゃなかった。家に帰ってみてみれば霜焼けになっていようが関係なかった。
とにかく今私は楽しんでいた。この雪を。
特に雪を触ってみることもなくただ雪の上を歩いた。さくさくと相変わらずいい音がする。
さくさく
さくさく
さく…さく…
別の足音が聞こえたが振り返りもせずに私は雪を楽しんでいた。別の足音はだんだんと私に近づいてきているようだった。不審者だったらどうしようとかそんなこと全然考えてなかった。
…でも、もし、不審者だったらどうしよう。
考え始めたのと同時に、足音は止まった。私のすぐ後で。私の前に影ができている。大きかった。私より大きな影ができていた。
「瀬崎、何やってんの」
後の奴が声を発した。声を聞いてこいつが不審者じゃないとわかった。同時に、めんどくせー不審者に絡まれるよりめんどくせーというなんとも正しい感情が私の中を巡った。
「…」 「なァ!無視?せーざーきー!」
「うっせぇ!!」
ドカッ
「うぉ?!」
私が「うっせぇ!!」と言って奴に思いっきり雪をぶつけたのはほぼ同時で、奴は雪を避けることもできないままそのまま後に倒れた。
「つめてーよ、瀬崎ー…」
奴は雪の上になんとも豪快に大の字で倒れそして今まさに雪が散らつく遥か上空を眺め言った。
これがいつも通りのこいつなら私は迷わずこいつにもう一発雪玉を投げ付けていた。しかし私は投げ付けなかった。
「…どうしたの」
口を開いてから聞くんじゃなかったと後悔したけど、もう遅く、私の声はどうやらやつの耳に届いているようだった。
「どうしたのって…何が?」 「あんた」
「ん?」
「なんかあったんでしょ」
図星だったのか違ったのか私には分からなかったけど、奴は少しだけ起こしかけてた体をまた雪に預けて大の字になってそして静かに目をつぶった。
そして言った。
「いーよ」
「…は?」
私が間抜けな返事を返すと奴は鼻で短く笑って、相変わらず目をつぶったまま口を開いた。
「瀬崎は、瀬崎でいーよ」
こいつが何を言いたいのかよくわからなかったから、もう一度雪玉を投げ付けてやったら奴は笑いながら「ムード考えろよ」と言った。
(多分、分かった。)
雪際での一連のこいつの謎の言動は少なくとも私になんらかの刺激を与えてくれた。少なくともそれは分かったからいいや。
私はそしてまたこいつに雪玉を投げ付けた。
雪際の、
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