思えば普通じゃなかった。 物心ついた頃から辺りと己の手を赤く染めていた。
最初に殺したのは誰だったか。
思えば思うほど闇にもまれていくけれど誰だったのかなどどうでもいい。 忘れるくらいに無情なままに生きてきた。
鉄のさびた匂いと青葉の新鮮な匂いが混じった所を生きてきた。
人が怖かったのか。 分からない。 誰にも分からない。 己も分からないんだから誰も絶対に分からない。
踏まれとうとも生き延びるざっさうのやうに、嗚呼と嘆き血を見ゆる。この”ざっさう”いかにして生きる―――来い。
拾われたのか。それとも己から望んでついていったのか。 いつの間にか忠誠をつくしていた。 それが恋心とは気付かなかった。 気付いたのはもっとずっと後の事だった。
赤く燃ゆる其れはゆらゆらと髪を揺らした。 この人についていこうと思った。
遅かったか?出会うのは遅すぎたか? どっちにしても己はこの人に出会っていた。
まだ死なない。 まだ死ねない。 己の赤を見るには早すぎる。
少しでも役にたとう。
忠誠心に従っているのか、もしくは恋心か。 誰も分からない。
首はねられ、 胴がなくなって歩けなくとも、
それでも帰りたい。 たった30秒。 されど30秒。 それだけしか会えない。 迎えてくれますか。 迎えてくれますか。
できればそっと抱きかかえてそっと口付けを。 生き返ることはできなくとも、安心してあちらに逝くことはできる。
まだだ。まだ。 急ぐなよ。 ゆっくりこいよ。
まだ死ねねぇ。 まだ死ねねぇよ、俺は
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