「覚悟、できてんのか?自分」
彼が言った意味は重々理解できたし理解できているつもりだった。 ここで言う彼とは私の中で最重要人物であり所謂私の恋人なのである。 静かな午後に揺れるカーテン。 窓の外に広がる不気味な色した赤い空に啼いたのは私だけじゃなさそうだ。 昨日見かけた黒と茶色のぶち猫が塀の向こうからこちらを見ているのが分かった。 ぶち猫は言った。 「 も う す ぐ 良 く な い こ と が 、 起 き る よ 」 動かない顔がにやりと笑ったような気がして気づけばぶち猫は姿を消していた。 「ミカサ、覚悟は、できてるよ、ずっと前から」 窓の外から視線を彼に移す。 どうにもばつの悪そうな顔をしていた彼は私の返事を聞いて安堵のため息をついた。 そして柔らかく笑った。さっきのぶち猫とは大違いの人間らしい笑顔。 「でも、カタセ、ほんまにええの?カタセに乗り越えれるか?」 「ミカサと一緒にいたいの」 「でもなあ、親とか、どないすんねん」 「駆け落ちに親なんて関係ないでしょ。ねえミカサ、私、ミカサと一緒にいたい」 駆け落ち、それを口に出してから後悔した。 でもそれしか方法はないのか、と考えるとやっぱりそれしかないらしい。 神様がいると言ったのは果たして誰が最初なのか其れさえも分からない。 神様はどんな人なのか、というか神様は人なのか。 それさえも曖昧な中で私は神様という存在を信じてきたのだから不思議だ。 それでも今は彼の言葉を一番信じているから不思議だ。 私の言葉を聞いた後ミカサはそっと髪の毛を掴んでそして優しく撫でた。 窓の外をふと見たらいつの間にか不気味な色した赤い空が消えていた。 消えたと思っていたぶち猫がまたこっちを見ていた。 「 キ ミ が そ れ で い い な ら い い け ど 」 どこかひっかかる言い方をしてぶち猫は不自然に笑った。 「カタセ、」 名前を呼ばれて彼を見て触れるだけの唇。 冷たい私の唇に暖かさが戻っていく。 幸せを感じるこの瞬間が一番嫌いだ。 この幸せがいつかなくなると考えると死んだほうがましだった。 明日なんて来なければいいと思ったのに来てしまうのはそれもかみさまの仕業なのか。 それとも何か、私が悪いのか。 あちらこちらに見えた時の狭間が怖いほどこちらを見つめていた。
そ し て 二 人 は
夜が来たら私はミカサと有耶無耶になってそして消えるけれど 誰も邪魔できない所で生息してそしてガキ創ってそんで親に顔見せに帰ってくる それでいいでしょ
(090925)
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