「殺してやっから」

冗談かと言えば冗談だと答えたかもしれないけどそれを聞かなかったのには理由がある。まず1つは奴が真剣すぎる顔をしていたこと。そして2つめは右目の眼帯が微妙にずれていた事。そして3つめは奴の左目が俺の顔を口を開かせないようにしっかりと捕らえていたこと。つまりは威圧感だ。ひしひしと伝わってきた。もう痛いくらいにね。


奴の右目は小さい頃に無くなった。
理由は知らない。奴が言ったのはこれだけだったからだ。俺自身も別に聞こうとも思わなかった。奴の右目がどういう経路で今の状態に至ったのか、奴の眼帯の下はどうなっているのか、興味はあったけど聞かなかった。

俺の左目は生まれつき無かった。
不思議?可笑しい?そんなの小さい頃はわからなかった。だって生まれたときからこうだ。普通人間は左目はないもんなんだって思ってた。驚いた。俺の周りの人間にはちゃんと左目がついていたことに。今は勿論分かっている。俺が可笑しいんだって。


「なぁ、眼帯ずれてる」俺は自分の左目に乗せている眼帯を指差して奴に言った。奴はあわてて元の正位置に戻す。奴の黒くて厳つくてそれでいて凄く派手な眼帯は元の位置に収まってなんだか嬉しそうに見えた。

「チッ・・・俺の話聞いてたか?」

奴は小さく舌打ちをして俺を睨んだ。勿論聞いていた。行き成りあんなこと言われりゃ嫌でも頭に入る。奴は気に入らなかったんだろう。自分が想像していた返事が返ってこなかったから。「聞いてた」俺がそう言うと奴は言う。

「いいか?俺はお前を殺す。それは10年後かもしれないし1ヵ月後かもしれないし一週間後かもしれないし明日かもしれない。又は今日かもしれない」
「うん」
「だから、それまでは絶対死ぬんじゃねぇぞ」

奴の鋭い左目でまた捕らえられた俺はそれから何も言わなかった。いや、言えなかった。あれだ。またあの威圧感というのがひしひしと伝わっていた。それはもう、痛いくらいに。

「おい、聞いてんのか?」

奴は俺の真っ赤な左目の眼帯をビヨンと伸ばしてそして、手を離した。「・・・痛」眼帯はバチンと俺の肌と触れて正位置に戻った。「聞いてる」俺が言うと奴は満足げに口の端を上げて笑った。「でも何で?」俺が聞くと奴は最高に嫌そうな顔をして言った。

「俺とお前が眼帯だからだろうが」






眼帯的

 付き合い方




「はぁ、そうですか」

俺は奴の眼帯をビヨンと伸ばし、そして手を離した。
バチンという音と共に奴が「いてぇ!!!」と叫んだ。






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